西洋医学では、ミカン一個を分析してビタミンCは何ミリグラムというように細かく分析していきます。そして、人間には一日何ミリグラムのビタミンCが必要だからミカンを何個食べればよい、というように結論づけます。 東洋医学では逆です。ミカン一個をトータルでとらえます。それがひとつの生命体であり、その生気を丸ごと食べることが、人間の健康につながるという考えかたです。 ちょっと抽象的でわかりにくいかもしれません。それでは、こう考えてみてはどうでしょうか。
ビタミンCが体にいいからといって、最近はやりの錠剤をたくさん飲むよりも、ミカンをひとつ食べるほうがいいのです。
ミカンの中のビタミンCだけをとるのではありません。ミカンの実や汁、皮にさえ、さまざまなものが含まれています。それがミカンというひとつの生命をバランスよく保っているのです。その生命を丸ごと食べることで、人間の体にそれが生かされる。ミカンの生命が人体に吹きこまれるわけです。 人間の体は自然の産物ですね。だから食べものも、なるべく自然のまま摂取するのがよいのです。いくらビタミンCが体によいからといって、そればかり飲んでいては、自然なバランスはくずされていってしまいます。
ビタミン剤をいろいろ飲むよりも、新鮮な食べものをそれに合った調理法でおいしく調理し、規則正しく食べる――これを実践してみたところ、驚くほど健康になりました。近視もよくなり、シェイプアップもでき、カゼひとつひかなくなりました。お産もほんとうに軽くすみ、子供たちも健康に育ちました。それも、ビタミンCの発想から「ミカンひとつ」の発想への転換があったからだと思っています。
女性の体は毎月自然のリズムをきざんでいます。自分の体の“自然”を意識して、自然の産物である食べものをうまくとり入れていく。これが体とうまくつきあっていく最良の方法です。 社会進出が進み、いきいきと活動的な女性が増えてきましたが、それだけに、健康を害する要素もまわりにたくさんあります。仕事や家事のたいへんさからストレスがたまる。お酒をたしなむ機会も増える。栄養のかたよった外食が多くなる。一方でプロポーションを維持しようとダイエットに懸命になる。こんなふうに、現代の女性は健康の危機をたくさん抱えています。
まず健康で、そしてよりいきいきと活動的な魅力ある女性になるために「ミカンひとつの発想」を生活の中にとり入れてみてはどうでしょうか。