味も栄養もよいのは完熟種 【トマト】
効率よくとれるビタミンCで肌や内臓の疲れを取り除く
トマトケチャップ、トマトジュース、トマトピューレ、トマトソース。今でこそトマトは世界中で愛されている野菜ともいえますが、トマトが人々の前にあらわれたばかりの頃は、「毒があるのではないか」と敬遠されていました。 原産地は南米のペルーやアンデスの砂漠地帯といわれています。ヨーロッパに伝わったのは16世紀。日本には18世紀に入ってきましたが、あまりにも鮮やかな赤い色をしたこの野莱を食べる習慣はなく、当初は鑑賞用にとどまっていました。 日本で食用になったのは明治時代の中ごろ。オムライスやチキンライスなどの洋食が大衆化し、トマトケチャップが食卓に並ぶようになってからトマトのおいしさを知ったようです。 トマトにはビタミンA、C、Eなどが豊富です。ビタミンCは免疫力を高めたり、タンパク質と結びついてコラーゲンをつくり出します。コラーゲンは細胞同士を結びつける役割を果たし、歯、骨、血管などの形をしっかりと維持します。コラーゲンが不足すれば細胞と細胞の間が広くなり、病原菌がすきまに入り込みやすくなるのです。ビタミンCは水溶性で、水に溶け出しやすく、熱にも弱いといわれていますが、トマトに含まれるビタミンCは、比較的安定しているため調理しても破壊率は低いようです。さらによいことに、一緒に食べたもののビタミンCをも守ってくれるのです。
〔おいしい食べ方〕 イタリア料理やスペイン料理といえば、トマトがふんだんに使われます。トマトに含まれるクエン酸は、肉類の味を引き出す他、胃を刺激して食欲を促します。二日酔いなどで弱った胃はトマトジュースでいたわってあげましょう。というのもトマトジュースは完熟トマトが使われているため、生のものより栄養価が高いこともあるからです。 普通は青いうちに収穫し、冷蔵して熟成させ赤い色を出します。完全に熟してから収穫すると傷みが早くなってしまうためなのですが、料理に使うときはなるべく完熟したものを用いましょう。おいしく仕上げたいときには皮と種を取り除くのがコツです。
〔選び方と保存法〕 おいしいトマトは水分をたっぷり含み、丸くてずっしりと重いものです。保存に際して注意したいのは、温度です。トマトはとても気難しく、完全に熟したものは冷蔵庫で大丈夫なのですが、青さを残しているものは、15〜25度で保存しないと、品質が低下してしまいます。食べものは何でも冷蔵庫に入れておけば長もちすると思うのは間違い。それぞれに合った保存法をよく知ることが大切です。
日時: 2007年04月17日 10:38