美しい姿勢 その2
●上半身の力を抜いて下半身に力を入れる
正しい姿勢とは、上半身の力が抜けていて、下半身に力が入っている状態です。この状態をいつもつくることが肝心です。それを確かめるためには、肩を揺すぶってみればよいのです。肩を上下左右、いろいろな方向に揺すぶってみてください。 上半身が緊張してこっているとすぐにわかります。そして、今度は下半身を握りこぶしでたたいてみます。腹筋がしっかりしていると、いきなりたたいてもおなかはびくともしません。下半身に力が入っている状態です。 このように、上半身の力が抜けて、下半身に力が入っている状態を、昔から「丹田がすわっている」といいます。「腹がすわっている人」ともいいますが、これもつまり、上半身がリラックスしていて、下半身が充実していることを示すのです。
丹田というのは、東洋医学の言葉で、へそから五〜一〇センチ下の部分を指します。ここがしっかりしていると、ストレスがかかっても過剰反応しなくてすみます。なにか急にイヤなことをいわれてカッときても、それに対してやわらかく受け答えができるのです。相手に合わせて自分もカッとしてしまえば、何もいい結果は生まれませんが、下半身に力が入っていればそうはなりません。
現代はストレス時代といわれますが、姿勢に気をつけるだけで、ストレスへの対応がずっと上手になるのです
下半身に力が入ると、先ほどいったようにガスが排出されやすくなることに加え、腹筋と肛門筋の力がついて、便を排せつする力も出てきます。便秘の解消にもなるわけですね。そのためには、日ごろから下半身を鍛えることが大切です。歩くことがいちばん簡単な方法です。仕事で外まわりをするときも近くならなるべく歩く、駅から家に帰るときもバスを使わないようにする、こんな心がけで一日一万歩以上をめざしてください。 もちろんスポーツは効果的ですが、スポーツでなくても、下半身を鍛える方法はいろいろあります。たとえば歌。カラオケでもいいのですが、マイクは使わないほうがいいですね。マイクを使うと口だけで歌いますから、下半身に力が入りません。マイクを離してうたう歌いかたや、合唱、民謡、謡などもいいのです。どれもおなかにしっかり力を入れて声を出すため、下半身の強化につながっていくからです。
日本舞踊などの踊り、そして大極拳や剣道、柔道などの武術も効果があります。こういった昔からの武術はすべて、下半身に力を入れ、上半身の力を抜くのが基本です。名人といわれる人はみんな下半身がしっかりしていて、身が軽い。重心が下の人ほど動きがすばやく、無駄な動きがないのです。上半身にばかり力が入っている人は、試合を見ているとすぐ負けてしまうのがわかります。 最近では女性でもこういった分野で活躍する人が増えました。それに影響されたためか、健康づくりのため武術を習う女性も多いようですが、ぜひがんばってほしいものです。
このように、姿勢は単に美しいスタイルをつくるだけでなく、健康や精神力とも大きく関わっているのです。手近な鏡をのぞいてみて、背すじがピッと伸びているかどうか、このチェックを日ごろから心がけてください。
日時: 2007年03月06日 16:14